杉村文(京都大学大学院文学研究科)、沼田詩暖(京都大学文学部)が、National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine によって 2022 年 に開催されたワークショップ・シリーズの議事録等をまとめた資料、”Evolving Crisis Standards of Care and Ongoing Lessons from COVID-19: Proceedings of a Workshop Series”(2022 年 6 月 15 日公開)の抄訳を作りましたのでここに公開します。
概要:本報告書は、まず、米国で 2005 年に策定が開始された CSC(Crisis Standard of Care, 危機医療水準)が、新型コロナウイルス発生以来、どのように改変され、適用され、医療現場の課題にどの程度対応することができたか、専門家や医療関係者の視点から振り返っている。 そして、コロナ禍を通じて得た様々な教訓を将来の公衆衛生上の緊急事態の際に活かせるよう、CSCおよび米国の医療体制の改善に向けての提言を行っている。具体的には、医療現場では、人員配置の問題への対処や医療従事者のメンタルケア、トリアージ、テクノロジーの利用可能性等が論点として挙げられる。また、アメリカ社会においては、人種や障がい、経済状況等を理由に、より脆弱な立場に置かれた人たちに対しても公正なケアを提供するべく、意思決定の過程に各地のコミュニティが参与できる体制を作り上げ、かつ、CSC の倫理的側面を見直す必要が指摘される。全体として、より包括的な CSC を作成するとともに、緊急時の行動指針としてのCSCに関して、適切な情報共有を行い、国全体でコンセンサスを形成してゆく必要性が強調されている。
ご関心のある方は以下のリンクよりご覧ください。
コメント